薔薇のように美しく 雑草のように逞しく

こちらの写真は、我が家の前庭にある草である。
前庭と言っても、コンドミニアムの共同スペースなのだが

 

 

 

少々分かりづらいが、中央に放射状の草があるのがお分かりだろうか。
実はこの草、元からここにあった物ではない。
これこそが、私の薬に入れる、叔母秘伝のハーブなのだ。
私がある場所から移植した。

 

受け継いでゆくもの で綴った、マレーの薬。
薬作りの師匠である叔母は
数種類のハーブをオリジナルのレシピで調合していた。

クアラルンプールに帰ってきてから、そのハーブを探したのだが
何せ見たことも聞いた事もないハーブ。
探し出すのはなかなか苦労だった。

 

ハーブの名前は「Tutup Bumi」
Tutupは「覆う」「Bumi」は大地。
葉が地面を覆うような形をしているからだろう。

昔は原っぱのどこにでも生えていて
子供の頃、夫は叔母に頼まれて、よく原っぱから取ってきたと言う。
今のクアラルンプールには、昔ながらの原っぱなど無く
全く探しようがなかったハーブなのだ。

 

ところが、「求めよ、されば与えられん。」とはよく言ったもので
ある日息子の高校のスポーツデーに行った時
グラウンドの端に腰を下ろして、観戦していると
夫が突然「Tutup Bumi!」と言うではないか。

「え?どこに?」と言う私に、彼は座っている地面を指差した。
何と至る所に、Tutup Bumiが生えていた!
息子の高校は、創立100年を越える歴史の学校で
なるほど、「昔ながらの原っぱ」はここにあったのか。

 

大喜びで、少々失敬し、家の前に植えたのだが
さすがは雑草。いや、薬草。
あっという間に昔からそこにあったかのように増えた。
ちなみにTutup Bumiの薬効は、皮膚病、傷、女性のおりもの、
産後のケア(子宮収縮、陰部の洗浄など)だそうだ。

 

このコンドミニアムの住民は、これが薬草だとは知らない。
呆れるほど増えたTutup Bumiを見ながら
草の逞しさに感嘆すると共に
私も雑草並みの逞しさだなと、思わず笑みが込み上げた。

 

何を間違ったのか(笑)マレーシアにやってきて、
色々と踏みにじられるような経験もあったが
何とか生き延びている。
まさしく雑草並みのしぶとさで。

 

私が長年憧れていた花は 真紅の薔薇
そんな女性になりたいと 密かに思っていた。
その想いは、ハイヒールが叶えてくれた。
誰に遠慮する事なく、私は薔薇として生きて良いのだと。

 

だが私は、温室育ちの薔薇ではない。
星の王子様の星にある薔薇は、王子様がガラスのカバーをかけてくれたが
私はガラスのカバーなどいらない。

雨風に晒され、酷暑や雪に痛めつけられても
しっかりと根を張り 太い棘を持つ
真っ赤な薔薇でありたい。

薔薇のように美しく
雑草のように逞しく

 

これが、私が貫きたい生き方なのだ。

 

 

マレーシア クアラルンプールより愛を込めて
Nana

 

 

 

 

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