受け継いでゆくもの ⑤

2015年に、マレーシアの伝統薬作りを学んだ時のことを綴っています。

過去のシリーズはこちらです。

受け継いでゆくもの ①
受け継いでゆくもの ②
受け継いでゆくもの ③
受け継いでゆくもの ④

 

 

アロースターでの薬作り修行を無事に終えて
クアラルンプールに戻ってきた。
作り方はひととおり見せてもらったから
この後の課題は、ひとりで再現できるよう練習すること。
そして、叔母が教えてくれたハーブを探すこと。

薬作りを習ったのは2015年7月。
それからクアラルンプールの自宅で試行錯誤を繰り返した。
最初に作った分は全くものにならず、全部廃棄。
二度目はオイルを変えてみたが、出来上がりは悪くなかったが
オイルそのものの香りが強くて
ハーブの香りの邪魔をしたので、自宅用に使うことにした。

 

試行錯誤をしている間に、叔母が教えてくれたハーブも無事に見つかり
何とかポン叔母と作ったものに近いものが出来たのは
半年ほど経った頃だった。

 

今度はボトルを探さねばならない。
味気ないボトルではなく、アロマテラピーっぽい
スポイトの付いたボトルがいいなと思い、色々と探した。
ネットを検索してボトルを仕入れようかと思っていた矢先
家のすぐ近くにあるモールの中に、
ボトルや化粧品用のクリーム容器などを卸売りしている店を見つけた。

そこに、思っていたようなスポイト付きのボトルがあった。
聞いてみると、小分けでも卸価格で売ってくれるという。
これでボトルは確保できた。
次はラベルだ。

ラベルは私が基本のデザインを描き
PCが得意な甥がグラフィックデザインを担当してくれた。

 

そして完成したのがこちらである。

 

 

Nahというのは、薬作りを始めた祖母の名前だ。
ポン叔母が誇りにしている母親。
祖母に敬意を表して、ラベルに彼女の名前を入れさせていただいた。

 

 

終戦、そして独立を迎えたばかりのマレーシアで
薬を作って家族を支えた祖母。
そしてその腕を受け継ぎ、その世代の田舎の女性には珍しく
自分で稼ぎ、自立した生きてきた叔母。
二人の女性が大切に、作り続けてきた薬。

50MLのボトルには、マレーシアのハーブの恵みと共に
二人の女性の生き様と誇りが、ギュッと詰められている。

これで、私が生きている間は、この薬が消えることは無い。
これは私の、マレーシアとマレーシアの家族への、ささやかな恩返し。

 

 

私がいなくなったら、あなたが作るんだよ。
もし、あなたが結婚しなかったり、女の子がいなかったら
だれか信頼できる女の人に、このレシピを教えてあげなさい。
娘にはそう話してある。

お兄ちゃん達がいるじゃん。
娘はそう言うが、
これはTok Nah(ナーばあちゃん)とTok Cik(トッチ 大叔母さん)が
大切に作ってきたものだから、まず女の人が継ぐものなのよ。

 

娘にはまだ分からないだろうけれど
大人になった時、きっと分かる。
彼女の曾祖母と大叔母が、この薬に込めた気持ちと誇りが。
その時彼女が心から理解し、受け継ぎ、次に繋いでくれるといいと思う。
彼女より前の時代に生きた、二人の女性の生き様を。

 

終わり

 

マレーシア クアラルンプールより愛を込めて
Nana

 

 

 

 

 

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