受け継いでゆくもの ②

ー 受け継いでゆくもの ①からの続きです -

 

誰も継がないなら、私がやる。

 

ポン叔母の薬が、消えかけているのが我慢ならなかった。
昔ながらの良いものが、誰にも受け継がれずに消えてゆく。
皆 口では「あれは良いよね。とてもよく効く。」と言いながら、誰一人守ろうとしない。
それが、たまらなく歯がゆかった。

 

私がやる、と啖呵を切ったものの
その先をどうしたら良いのか、まったく見当がつかなかった。
聞けばポン叔母は、薬のレシピを決して人に教えないという。
どうやってお願いしよう。
外国人の私に、教えてくれるだろうか。

とりあえずポン叔母に電話をして、薬作りを習いたいことを話してみた。
しどろもどろになりながら、ミニャッ アンギンの作り方を教えて欲しいと言うと
叔母は一瞬黙って

 

「Nanaは商売がしたいのかい?」
そう尋ねた。
その時の私は、商売がしたい訳ではなかったが
何と説明したら良いか分からず、「そうです。」と答えた。

 

「私の薬はね、何にでも効いて重宝する、って皆が喜んでくれるんだよ。
昔はミニャッ アンギンを作る人は他にもいた。
でもお客さんは、私の作った薬でなきゃだめだ。他のは効かないって。
遠くの村からわざわざ仕入れに来る人もいた。

今まで、教えて欲しいって言う人は何人もいたけど
私は絶対教えなかった。
人に教えたら最後、ただのお金儲けに使われて
いいかげんな物を作られてしまう。
だから、絶対に教えなかったんだ。」

 

だからダメ。
そう言われるのを覚悟して黙り込んでいた私は
次の言葉に驚いた。

 

「Nanaがやるんなら、ちゃんとビジネスにすること。
人様に売れるだけの物を作って、ちゃんとビジネスにするなら教えてあげる。
遊びなら教えられない。」

 

分かりました。必ず叔母さんに合格をもらえる薬を作って
ビジネスにします。
約束します。

 

今、私はペナンの娘の家にいるから。
ここは狭いし、道具も無いからね。
今度アロースターに帰った時に、うちにおいで。
作り方を見せてあげるから。

 

こうして、めでたく薬作りの弟子入りが決まった。

 

 

続く

 

 

マレーシア クアラルンプールより愛を込めて
Nana

 

 

 

 

 

 

 

 

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