理論+感性xエネルギー=美

水曜日は師匠とのプレタポルテレッスンだった。

この日は何度修正をかけても、上半身の回転がひどく
直しても直しても、左に回ってしまっていた。
師匠があらん限りにメスを振るい
何とかレッスンの終了時間10分ほど前に
ルブタンを履くお許しが出た。

 

 

素足のエクササイズで上半身が定まらない場合
ハイヒールを履くと余計にブレが増幅される。
まして相方は超難関のルブタン12センチのクラシックタイプ。

靴によってそんなに違いがあるのか、と思われるかもしれないが
冗談でなく、あらゆる「出来ないところ」が炙り出される
それはもう、恐ろしく厳しい靴である。
「私を履けるものなら履いてごらんなさい。」
という、挑発的なオーラがビームのように放たれていて
足を入れる前から緊張する。

 

 

何故よりによって、こんな難易度の高い靴を選んでしまったのか。
ルブタンでも、もう少し優しげな靴もあったのに。
しかし美しさという観点では、12センチのクラシックタイプが
圧倒的に私好みの美しさなのだ。
これを履きこなしたい!と
ハートに火がついてしまったのだから仕方が無い。
惚れた弱みというやつだろうか。

 

 

それはさておき、いざルブタンに足を入れてのハイヒールレッスンは
余計なことが一切考えられなくなる。
セラピストの友人曰く、「ハイヒールレッスンも一種の瞑想」だそうだが
本当にその通りなのである。

 

 

 

いよいよレッスンもあと数分で終了、という時
右肩を開きながら左肩をぐっと引いた瞬間
腹筋がぐっと上がったのが分かった。

瞬時に体の軸が通り、そのまま1歩。
そして続けて、次の1歩。
「これだ!」という確かな感覚と共に、師匠の
「Nanaさん、ようやくポジションが戻りましたね!」
という声が聞こえた。

 

 

45分のレッスン中 最後のたった2歩。
だが、この2歩で得られた感覚はとんでもなく大きかった。
エネルギーが通った歩きとは、こういうものだという感覚が得られたのだから。

 

 

「今、何が起きましたか?」
師匠が私に聞いた。
こういう時、師匠は必ず質問を投げかけて
言葉で説明をさせる。
実はこれが非情に重要で、言語化することで「それは何故なのか」を
理論的に自分に落とし込むことが出来るのだ。

腹筋が上がった気がする。エネルギーが通った感じがする。
繊細に感覚で捕らえることは大切だが、しっかり言語化しておかないと
あやふやで、すぐに忘れてしまうものだ。

この場合は、左に回転する上半身の修正をかける
タイミングと肩のポジションがポイントであった。
足の運びにあわせ、上半身を意識して右に開くタイミングと
左肩を開くタイミングがピタリと合った時に
腹筋が上がり、軸が通った。

 

 

 

ハイヒールの哲学が単なる歩き方レッスンではないのは
理論と感性を両立させるところである。
このふたつは、車輪の両輪で、どちらが欠けても進むことは出来ない。
理論と感性の両輪がバランスよく働くと、エネルギーが生まれる。
自分の体で実感した夜だった。

 

この日得られた感覚、癖の修正の仕方など 私が得た物は全て
クライアントの方々に還元してゆきたい。

 

 

 

マレーシア クアラルンプールより愛を込めて
Nana

 

 

 

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